Mar 11, 2011

Earthquake

(Mar. 17 3:38) 例の左翼ゼミ・メーリングリストから相変わらず福島原発に関するセンセーショナルなメールが送られ続けていて、郡山市やいわき市に家族や友人がいるわたしとしては、さすがに困惑せずにはいられない。ならばわたしはこう言いたい。あなたがたが政府や東電、自治体を動かして、原発の半径50キロなり100キロなりの全住民を全員避難させるように働きかけるべきだ。公の場で、自分たちの顔と名前をさらして、賛意と同時に批判を浴びることも覚悟の上でそれをやるなら、わたしは「半被災者」の一員として、これらのサヨク活動者たちに賛意を示すだろう。あなたがたも学者やジャーナリストのはしくれなら、インターネットの掲示板やメーリングリストに書き込むだけで自分たちの使命を果たしたと思い込むべきではない。あるいは、インターネットのメーリングリストはもはや私的・個人的な領域ではないのだから、期せずしてわたしのもとにも転送されてきたメールの発信者たち、すなわち東大研究員のナントカ氏とか、ドキュメンタリー映画監督のカントカ氏、あるいはチェルノブイリで何度も取材経験があるダレソレ氏の実名を、彼ら自身が実名で投稿している以上、少なくともわたしはここでも明らかにしてもよいと確信している(のだが、一応まだそういうことはしないでおく)。というか、もうあのゼミのメーリスから脱退しようか知らん。

つまりわたしが言いたいのは、どうしてあの連中は、コチョコチョと自分の身内ばかりで国家や大企業の陰謀論をぶつのだろうか、ということだ。それって、反ユダヤ主義者だけに通じる「シオン賢者の議定書」の執筆と何が違うのか。あるいは彼らはこう言うかもしれない。「私たちは国家や大企業の問題を声高に提起しているが、正義の弱者たる私たちの声は、権力者たちによっていとも簡単に握りつぶされてしまっているのだ。だから私たちは今最も民主的な情報発信手段であるインターネットを活用しているのだ」と。もし本当にこう言いたいのだとしたら、この連中は本当の大馬鹿者なので、さすがにそこまでのうつけではないだろうと願いたいところだ(これは、皮肉ではない)。

今のところわたしが期待しているのは、このたびの大震災や原発事故が一段落したあと、彼らが自らの発言に責任を持って、反原発運動を展開することである。この点に関して言えば、わたしはそうした運動は簡単には賛成できない。というのも、原発を誘致する(あるいは、押しつけられる)自治体は、衰退していくばかりの田舎町ばかりだからである(その点では福島県の原発は、沖縄県の米軍基地に似ているが、沖縄県が恐らく米軍基地なしで自立していく覚悟を決めた一方で、福島県の双葉町や大熊町にそんなことができるかどうかは、議論が分かれるところだ。そもそも、発電所と軍隊は全く性質のことなる別物である、等々の議論をしていけばキリがないのでこの辺で)。

一言だけ声を大にして言っておきたい。マジでサヨク信用できんわ(別にウヨクが信用できると言っているわけではないので、念のため)。

被災地にいるのと、東京にいるのとでは感覚が違う、という。ならば「準被災地」(郡山市は震度6程度の地震に見舞われはしたものの、厳密な意味で災厄に見舞われた土地とは言い難い)にいるわたしの両親や友人たちは、原発事故に関してのんびりしており、他方学者やジャーナリスト、とりわけ東北にいるそれらの人々は鋭敏な感覚を持っているというのだろうか。一応書いておくと、福島原発と郡山市との間には福島県東部を南北に縦断する阿武隈高地[最標高は田村市および川内村の大滝根山1192メートル]が横たわっており、比重の重い放射性物質はこれを越えにくい、らしい。そういうわけで、福島原発から見て北に位置する宮城県や、南に位置するいわき市や茨城県の人々の危機意識は、わからないでもないのであるが。ただ、東北脱出の様子をヒロイックに書き綴ってメールで流す心性はいまいち理解できない。一切の自伝的作品を残さなかったハンナ・アーレントなら、そんなことはしなかっただろう(アーレントがドイツからフランスを経由してアメリカに亡命するストーリーは実に劇的で伝記に書かれるべきだし、実際書かれている)。この問題に関して、わたしが直接話を聞くことができる、もっとも信頼できる識者(理系、できれば物理学、できれば原子工学の専門家)は誰だろうか。

(Mar. 16 12:03) 外国語で書くのももはやまだるっこしいので、母語で。わたしが登録している、とある大学のゼミナール・メーリングリストから、原発に関する非常にセンセーショナルなメールが朝に夕に繰り返し送られてくる。このゼミナールの指導教員は政治的に左派と見なされており、そのゼミに集まってくる学生や人々の中には、左派的な性向を持っている人もいる、と断言してよい(わたしに関して言えば、彼らに比べれば左翼を自称することは憚られる)。そうした左派の人たちはつまり反政府主義者・反体制派の政治姿勢を掲げているが、それは、自今のような、東日本で地震が群発し、津波が押し寄せ、原発で事故が発生している状況下でも一切揺るぎがないどころか、むしろ強まっているようだ。たちの悪いことに、東京以西にいるサヨクに限って、「原発が危ない! にもかかわらず政府や東電は事実を隠蔽している! 早く西日本に逃げろ!」と放言するメールを送っていることである。わたし自身は現在も東京にいるが、福島県郡山市(福島第一原発から少なくとも50キロの位置)の生まれであり、両親や弟、友人たちが当然そこにいる。また祖父や親類が福島県いわき市(原発から少なくとも30キロ)にもいる。そういうわけで、東京以西のサヨクたちよりは、今回の原発事故に関して被害者に近い立場にあることを自負している。それゆえわたしは、原発周辺の人々にたいして無責任な「アドヴァイス」を垂れ流すことは絶対にできない(別にわたしに原発周辺に縁者がいなくても、学者のはしくれとして、そのような非理性的な物言いは、いかなる媒体を介してでも行うことはないが)。もちろん原発周辺住民が自前の情報から判断して西日本に脱出することに反対するわけではない。しかし、何よりも避けられるべきは「チャイナ・シンドローム」に伴う大パニックである。非理性的なサヨクどもにではなく、オーガナイザーに管理された節度ある避難体制が何よりも重要なのではあるまいか。わたしにとって何よりも腹立たしく、頭に来るのは、そうした「一人対策本部長」たちが、インターネットに政府・東電批判と避難の呼びかけを垂れ流すだけ垂れ流して、満足していることである(メールや掲示板などに書き込むだけなら、誰にだってできる)。わたしはこの連中を軽蔑し、以後もはや学者とは見なさない(ただし、そのゼミの教授がこうした「一人対策本部長」のお遊びに一切与してないことに、わたしは最大限の敬意を表する。彼だって呆れ返っているかもしれない)。

(Mar. 15 1:19) By the way, tonight I ate ramen for dinner at Ramen Jiro Senju-oohashi with my brother. We need appetite, not irrationality.

(Mar. 15 1:03) 「津波は天罰」などと称する石原慎太郎・現東京都知事、次回東京都知事選立候補者にこそ天罰が下るべきだ! 津波の被災者のみならず今回の地震に関する全ての被災者は怒りの声を上げ、東京都民はその怒りに応じ次回都知事選では石原を落選に追い込むべきだ。とんだ放言を行うばかりの石原にこそ天罰を与えるべきか否か、東京都民の良心が厳しく問われている(参考:こちら[毎日新聞]またはこちら[魚拓])。

(Mar. 15 0:48) Survivors of the earthquake and Tsunami waves in Japan need your help and assistance! Please donate for Japan disaster! (see here* [partly in English].)

(Mar. 14 19:10) I am very furious that in our university through Mailing List some graduate students have sent sensational E-mails about nuclear plant disasters in Fukushima. They have misunderstood utterly that scholars must do so in this situation. Idiot! This is for people of leisure!

(Mar. 13 13:39) To readers from overseas. There were NO NUCLEAR BLASTS at nuclear plants in Fukushima though something happened like explosion. I, born in Fukushima, have observed developments calmly. Be calm and don't be scared and afraid if you are not idiot.

(Mar. 13 1:09) Every cellular phone line in Tohoku area can be hardly connected. I gave a phone call to a landline phone of my family in Fukushima with a public phone from Tokyo.

(Mar. 13 1:00) I ate ramen for dinner at a Jiro-inspired shop, Ramen Marusuga (らーめん○菅), Kameari (亀有). And I went to Ueno by my brother's car in order to buy Jump.

(Mar. 12 18:55) I decided to give up going out in order to buy hayauri Weekly Shonen Jump today.

(Mar. 12 0:14) I called my family, parents, brother and uncle in Fukushima. They are all right.

(Mar. 11 15:32) I'm in Katsushika with my brother. We are ok.

*External link to the Japanese website
**External link to the website except written in Japanese

ここには記事冒頭の、トップやアーカイブページでも表示される文章を書きます。
ここにはトップやアーカイブページで省略される(記事単独ページでだけ表示される)文章を書きます。

8 comments:

  1. 無事でなにより
    携帯はまだ機能してないか

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  2. 何となく想像はつく>sensational E-mails about nuclear plant disasters in Fukushima

    ともあれ無事で、元気そうで良かったよ。ご家族も

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  3. Hello,
    I am writing to you from Germany. I feel very bad that I left Japan but my family here, especially my mother was in a lot of panic, so she begged me to come home for a while. The German media is very sensation seeking, but that's what my parents read and what I read, so we all got panicked.
    I admire how calm and rational the Japanese people are. This will help a lot to get the situation under control. I can't be like that, maybe because of a different education and a different cultural background.
    Although I am one of the idiots you are writing about I hope that I can come back to Japan soon and that we can have Jiro together.
    I think a lot about your family and hope that they will be fine after all. I am happy that you and your brother are together now.
    Take good care and see you soon
    Anneke

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  4. Anneke, thank you for your comment.

    I understand well that you and your family are anxious about the earthquake and nuclear plants "disorder" (it is "disaster" perhaps you might call.)
    But Fukushima is neither Hiroshima nor Chernobyl, and I am surely convinced that Fukushima will never be them.
    Of course now the nuclear plants are not but will be under control soon.

    As you know, I was born in Fukushima.
    What I am afraid of the most is that my hometown is misunderstood, avoided and cannot be helped (in fact now Fukushima is distressed by the bad rumor that it is already perfectly polluted by nuclear.)
    Even in Japan I know partly what the European media say about the nuclear plants but not all but most of them are too much "sensational" as if they would be malicious and make Fukushima Chernobyl.
    I fight firmly against such a sensation from whether Europa or Japan.
    As a novice philosopher, I HATE a sensation and irrationality .

    However, I think it is unavoidable that people in other countries are anxious too much about the nuclear plants in Fukushima because they are not in Japan and cannot read the Japanese media written in Japanese.
    I am very very very and extremely angry at Japanese people in Japan who spread the bad rumor through the internet.
    Moreover the fact might be that some of them are the left who have opposed the use of nuclear plants; I might hate such irrational leftists in Japan.

    Please take a rest at your hometown with your family.
    I hope you come back and we eat Jiro together soon again (ramen save the world!)
    All we need is a good appetite.

    コメントありがとうございます。

    あなたとあなたの家族が地震や原発「事故」(あなたがたは「災害」と呼ぶかもしれませんが)について不安に思っているのを、わたしはよく理解しています。
    しかし福島はヒロシマでもなければチェルノブイリでもありませんし、わたしは福島が決してそうはならないことを強く確信しています。
    もちろんいま原発は制御されてはいませんが、早晩制御下に置かれることになるでしょう。

    あなたもご存知の通り、わたしは福島県出身です。
    わたしが最も恐れているのは、私の故郷が誤解されて忌避され、援助の手が差し伸べられないことです(実際いま福島は、当地がすでに完全に核に汚染されている、という酷い噂話に苦しんでいます)。
    日本にいても、部分的ですが、ヨーロッパの各メディアが原発について何と言っているか、わたしは知っています。しかしそれらの全てではないにしても、大部分があまりに「センセーショナル」過ぎであり、あたかもそれらが福島をチェルノブイリに仕立て上げようという悪意を持っているかのようです。
    わたしはそのようなセンセーションと、それがヨーロッパ由来であろうと日本由来であろうと、断固として戦います。
    見習いの哲学者として、わたしはセンセーションと理性の欠如とを嫌悪しています。

    しかしながら、日本国外にいる人々が原発について過度に不安になるのはやむを得ない、とも思います。というのも彼らは日本国外におり、日本語で書かれた日本のメディアを読むことができないからです。
    けれども、わたしが非常に、物凄く頭に来ているのは、日本にいる日本人がインターネットを介して酷い噂話を撒き散らしていることです。
    その上実際は、そういう噂話を垂れ流している人間の中には、かねてより原発に反対していたサヨク連中が含まれているかもしれない、ということです。
    わたしは日本にいる理性を欠いたサヨクどもを嫌悪するかもしれません。

    どうぞご郷里でご家族とゆっくりお過ごしください。
    あなたがお戻りになって、また一緒に二郎が食べられることを期待しています。
    (ラーメンよ、世界を救いたまえ!)
    食欲こそ全てなのです。

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  5. 福島をはじめ隣県のほうれんそうから放射能物質が検出されたことで、各メディアはこれでもかというくらい騒いでいますね。
    基準値以下で人体に影響がないレベルだ、というなら不安を煽るような発言を安易にしないでほしいと私は切望している次第です。

    基準値より高く影響があるかもしれない、乳児は気をつけなければならない、というのであれば、今回のような出荷見送り等の処置は妥当だと思いますが。

    それにしても日本はいささか騒ぎすぎのような気もします。事を大げさに言っているアナウンサーの言葉を耳にする度に苛立ちとも悲観とも似つかない感覚が湧き上がってきます。
    一番不安なのは原発の近くに住んでいる浜通りの人たちだというのに・・・

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  6. Thank you for your comment, Mr.S.

    あなたへの返答になるかどうかわかりませんが、
    ある人に宛てたメールにも書いた一節を記します。

    俺は、現代人にとっての原子力は、原始人にとっての炎と同じなように思えます。
    つまり、強大な力を秘めていることはわかっているが、
    扱い方が完全には理解してないのです。
    だからちょっとした火事でやけどで、ヒステリーのような大騒ぎをするのでしょう。
    しかも原始人がやけどの治療法をまだよく知らなかったのと同様に、
    現代人も被曝の治療法をまだ完全には確立していません。

    福島県人である俺にとっては、
    政府や東電が双葉町と大熊町に原発を造ったことも、
    想定しない自然災害によってそれが事故を起こしたことも、
    特に腹立たしいとは思っていません。
    当地は特に産業のない土地でしたから、
    原発を誘致することで雇用を生むことは必要だったと思います。
    1971年に稼動開始した原発が技術的に対災害性に欠けていたのもやむを得ません。

    俺が極めて腹立たしく思っているのは、
    福島原発の恩恵に浴してきた関東、とりわけ首都圏の人々が、
    その事故によって飛んできた放射性物質に慌てふためいていることです。
    また、この事故によって福島県が要らぬ風評被害に見舞われていることです。

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